東野圭吾『使命と魂のリミット』☆☆☆☆1/2

 大変面白かった!
 
 東野さんの、作家としてのプロの矜持にうならされた。ずっと失速することなく、このレベルを維持し続けているってすごいと思う。ベテランと呼ばれる作家のなかでも、こういう方は少ないのでは。まさに彼も作家としての『使命』をまっとうすべく奮闘していると思う。

 心臓の病で手術をし、突然死んだ父。その死因に疑問を持った娘が、ある目的のために医師をめざして研修医となり、父の執刀医だった西園教授のもとで働くことになる。その病院にある日、爆破予告が…。

 次から次へと疑惑が出てきて、ぐいぐい読者を話にひっぱりこむ。キャラもいいし、感情の描き方も抜群。誰でも必ず「使命」を持って産まれてきており、それをまっとうするために全力を尽くせ、というのが今回のテーマだが、その描き方がまた素晴らしく、強く胸を打たれた。背筋が伸びる思い。

 本当に何から何までハイレベルで、言うことなし。犯人探しのミステリではなく(犯人は最初から読者に明示されている)、どちらかというとサスペンスドラマのような展開。非常に質の高いエンタテイメントでした。大満足。☆4つ半。
使命と魂のリミット