古川日出男『僕たちは歩かない』☆☆☆☆

 なんとも不思議な話。そういう意味だったのか、このタイトル!最初はこの話がどこに転がるのか全然わからなかったけど、そうきたか!

 時の狭間、とでもいったらいいか。24時間ではなく、26時間ある世界にいけるようになったシェフ見習いたち。ここで彼らは料理の修業にはげむのだが、その仲間のひとりが…。

 ファンタジックなショートストーリー。短いけど、すごく印象的。異世界への入り方、そこの静けさ、彼らの真剣さ、友情、何もかもが。イメージが頭の中にふわっと広がる。サクサクっと切り詰めたような彼の文章がまたなんとも魅力的で、ほれぼれする。シブイ声の男性が朗読したら素敵だろうなあ。こういう話のよさがわかる人に、プレゼントしたいような1冊。できれば冬に。

 ☆4つ。僕たちは歩かない