高野秀行『アジア新聞屋台村』☆☆☆1/2

 いやあ、非常に感銘を受けました!
 読み始めた最初のうちは、この小説ともノンフィクションともつかない半端な感じがどうもすわりが悪いなあと思っていたんだけど、途中でわかった。これ、「小説」と思って読んではいけないんだ。著者の経験を小説形式にしたもので、リリー・フランキーの『東京タワー』のように、半自伝小説みたいなもんなのね。ストーリーがどうのとか、文章がどうのとか、フィクションかノンフィクションとか、そういうの一切関係なし!読者はこの話の根底に流れるアジア人魂、「エイジアン」の心意気を感じさえすればいいのだ!

 主人公が、さまざまなアジア系の月刊新聞を出す会社に勤める話なのだが、そこは台湾人の社長をはじめ、タイ人やら韓国人やら、とにかくあらゆるアジア国籍の人が机を並べるカオスであった!そこで主人公が出会ったさまざまな人との触れ合い、体験。やがて彼は、あきれるほどアバウトだが、バイタリティにあふれ、まるで雑草のように強くたくましいアジア人魂というものに目覚めていく。

 「日本人は失敗が嫌いって言ったけど、それは日本人が職人だから。モノを作らせたら世界で日本人がいちばん。(中略)発明は欧米系に任せて、それを商品化するのを日本人がやって、できた商品は台湾人が売ればいい。それがこれからの、なんだっけ、……あ、そうそう、グローバリズムよ!」
これはまさに目ウロコだった。なるほど、日本人は職人なのか。言われてみればよくわかる。商売ヘタなのはお国柄だったんだ。

 ほかにもいろいろと文化の違いが出てきて、非常に興味深かった。ダンナが失業したときの、日本の奥さんと台湾の奥さんの違いとか。

 彼らの性格が一見アバウトなのにはちゃんと理由がある、という説にも目ウロコ。日本以外のアジア人たちは会社のためではなく自分のために働き、失敗してもすぐ立ち上がる。日本のお隣の国々は、みんなこんなにたくましいのだ。ニートとか言ってる場合じゃないよ日本も!しっかりしなくちゃ!すごく元気をくれた本でした。☆3つ半。アジア新聞屋台村